研究課題
文字認知に障害を有する読字障害の発達障害者、中途失明者及び重度の弱視者のセンター試験等の受験を可能にするため、見えない2次元コードを活用して、鉛筆を音声ICプレイヤに置き換えた、紙筆テスト型の2つの音声問題を開発し、その実用化を研究した。平成20年度に中途失明者と重度の読字障害者用に文書構造表音声問題を、平成21年度に重度の弱視者と読字障害者用に文字と音声のマルチモーダル問題を開発した。最終年度の平成22年度は、次の研究を行った。(1)この2つの音声問題の第2次評価実験を実施した。被験者は、点字使用者15名、弱視者9名、読字障害者9名、健常者21名である。分析の結果、従来の点字問題冊子と拡大文字問題冊子の紙筆テストに加えて、開発中のこの2つの紙筆テスト型音声問題を実用化すれば、読字障害の発達障害者、中途失明者、重度の弱視者を含め、すべての障害者のセンター試験等の受験が可能となる事が見いだされた。(2)テスト・データから国語・数学・英語の音声問題の作成に肉声に替えて合成音声が使用可能であることが見いだされた。(3)問題の質の向上と作成作業の効率化及びセキュリティ向上とコスト削減に資するため2つの音声問題の自動作成システムを研究した。(4)最適な2次元コードを選択するため新たな2次元コードを購入し、従来のコードと比較評価を行った。(5)音声問題の作成方法を更に改善するため第3次評価実験を進めた。国語、地歴・公民、理科、数学、英語の5教科に付き、点字問題、拡大文字問題、文字と音声のマルチモーダル問題、文書構造表音声問題、通常文字問題の5種類の問題を作成した。その結果、古文や漢文及び図や表の音声出題の手法を見いだすことができた。しかし残念ながら、テスト・データ収集は、直前の東日本大震災のため次年度に見送らざるを得なくなった。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
大学入試研究ジャーナル
巻: 21 ページ: 181-190
ICCHP 2010, Part II, LNCS
巻: 6180 ページ: 541-547
ICCHP 2010, Part I, LNCS
巻: 6180 ページ: 116-123