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2008 年度 実績報告書

漢代鏡笵の製作技法の科学的解析と再現実験

研究課題

研究課題/領域番号 20300286
研究機関東京大学

研究代表者

田賀井 篤平  東京大学, 総合研究博物館, 名誉教授 (40011738)

キーワード鏡笵 / 漢代 / 黒色皮殻 / 青銅鏡 / 製作技法 / 再現実験
研究概要

前漢時代を最盛期として精緻な青銅鏡が数多く製作されたが、その製作技法は未解決の問題である。その理由は青銅鏡が研磨され鋳込みの痕跡が失われていることや鋳型が発見されなかった事が挙げられる。しかし、近年になって中国山東省臨〓の斉国故城で大量に青銅鏡鏡箔が発掘され、直接研究対象とすることができるようになった。本研究では、臨〓の斉国故城で発掘された漢代の青銅鏡の鏡箔を研究対象に、物質科学的手法によって研究史、当時の高度な製作技法を明らかにして、再現実験を行うものである。本研究のために、山東省臨〓の斉国故城で発掘された鏡箔が、山東省文物局によって特別に提供された。その鏡箔に対して、顕微鏡観察、X線回折実験、EPMAによる化学分析などを行った。その結果、鏡箔は強馬手多孔質であること、構成鉱物は石英・長石のほか火山ガラスが大量に存在し、天然の凝灰岩に類似することがわかった。しかし、大量の植物破片を含むことなどから土製の人工物であることを明らかにした。鏡箔の表層部に銅、錫の他に鉛が存在し、しかも硫黄が表層部に存在することを初めて明らかにした。
鏡箔の表面にはしばしば黒色の皮殻が存在するが、その黒色化の原因の一つに鋳込み金属元素の硫化物が寄与していることが確認された。また、鏡箔の比重が1程度と非常に軽く、その原因は鏡箔中の多数の気泡が存在することである。当時の技術でどのように気泡を実現したかが、重要な問題であるが、その可能性として、鏡箔作成時に混入した穀類の自然発酵や籾殻などの大量混入によって実現する可能性を示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 鏡箔面の金属鋳込みに伴う化学変化の研究(1)臨涌斉国故城出土の漢代鏡箔について.2008

    • 著者名/発表者名
      賀井篤平
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会誌 1

      ページ: 23-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鏡箔面に見られる黒色皮殻についての岳究その2黒色皮殻の化学分析2008

    • 著者名/発表者名
      賀井篤平
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会研究発表概要集.

      ページ: 5-7

    • 査読あり
  • [学会発表] 鏡箔面に見られる黒色皮殻についての研究その2黒色皮殻の化学分析2008

    • 著者名/発表者名
      田賀井篤平
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史学会
    • 発表場所
      福岡市埋蔵文化財センター
    • 年月日
      2008-09-21
  • [図書] 草葉紋鏡箔の物質科学的研究(鏡箔-漢式鏡の製作技術-)2008

    • 著者名/発表者名
      田賀井篤平
    • 総ページ数
      388
    • 出版者
      八木書店

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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