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2009 年度 実績報告書

漢代鏡笵の製作技法の科学的解析と再現実験

研究課題

研究課題/領域番号 20300286
研究機関東京大学

研究代表者

田賀井 篤平  東京大学, 総合研究博物館, 名誉教授 (40011738)

キーワード鏡笵 / 漢代 / 青銅鏡 / 黒色皮殻 / 化学分析 / X線吸収実験
研究概要

中国漢代の青銅鏡はその精緻な文様で特徴付けられるが、現代の鋳造技術をもってしても、再現することが出来ないほどの高度な技術が発達していたと考えられる。青銅鏡は研磨されており、鋳造の痕跡は失われている。また、鋳型である鏡笵は発見されておらず、当時の技術を解明することは困難であった。しかし、近年、中国の山東省臨〓斉国故城から大量の鏡笵が発見され、鋳造技術の解明が期待されていた。臨〓斉国故城に出土した青銅鏡の鏡笵には、しばしば黒色の皮殻が観察される。この黒色皮殻は、金属鋳込みに際して生じた鏡笵と金属との反応生成物であると考えられる。山東省文物局の特別な許可を得て、黒色皮殻を有する鏡笵に対する電子線プローブ微小領域分析(EPMA)を行った。その結果、黒色部分には、鏡笵を構成しているSi.Al,Ca,K,Feなどの岩石由来の元素やCu,Sn,Pb,Znなどの鋳込み金属に由来する元素が存在するほか、本来そこに存在する可能性がないSやCを初めて確認した。SやCは、人為的に加えられたと考えられ、Sは高温で融解した金属と反応して鏡笵表面に金属の硫化物が生じたと考えられる。これらの金属硫化物やCの存在が黒色皮殻の原因であることを初めて見いだした。また、X線吸収実験から、黒色皮殻中に存在するCuの一部が酸化銅として存在することも確認することが出来た。この酸化現象は鏡笵が土中に埋没されている間に被った風化という二次的な作用と考えられる。SやCの起源はまだ明らかではないが、離型材あるいは塗型材に含まれていたと考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 鏡笵面の帰属鋳込みに伴う化学変化(2)黒色皮殻の化学分析2010

    • 著者名/発表者名
      田賀井篤平、白雲翔, 他4名
    • 雑誌名

      FUSUS アジア鋳造技術史学会誌 2

      ページ: 28-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鏡笵面の金属鋳込みに伴う化学変化の研究3 鏡笵面の黒色皮殻の構成物質2009

    • 著者名/発表者名
      田賀井篤平、白雲翔, 他4名
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会研究発表概要集 3

      ページ: 72-74

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 山東省臨〓斉国故城出土鏡笵の黒色鋳型面に関する検証的鋳造実験2009

    • 著者名/発表者名
      三船温尚、白雲翔、清水康二、田賀井篤平
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会研究発表概要集 3

      ページ: 75-78

    • 査読あり
  • [学会発表] 鏡笵面の金属鋳込みに伴う化学変化の研究3 鏡笵面の黒色皮殻の構成物質2009

    • 著者名/発表者名
      田賀井篤平、白雲翔, 他4名
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史学会
    • 発表場所
      東京芸術大学
    • 年月日
      2009-08-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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