研究課題
基盤研究(B)
(1)古墳文化財で報告されてきた、文化財汚染に関わる真菌5属(アスペルギルス属、ペニシリウム属、アクレモニウム属、フザリウム属、アウレオバシジウム属)および放線菌のあわせて23種について、揮発性有機化合物(MVOCs)を実験室内での培養の段階ごとに固相抽出(SPME)成分のガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で分析し、フィンガープリントデータベースを構築した。さらに、新規に開発した先端計測機器であるイオン・モービリテイ・スペクトログラフイ(IMS)検出器を用いて、イオン化したMVOCsを大気中で移動分析してピークとして分離・検出するのに成功し、MVOCsに関するIMSデータベースを新たに構築した。(2)古墳などで分離されたカビや放線菌の株、あるいは同等の標準的な株の培養に対して、トビムシが捕食行動あるいは忌避行動や誘因行動がみられるかどうかについてビデオカメラによる小動物の行動解析を中心に行った。その結果、ペニシリウムの摂食が観察され、クラドスポリウムに対して誘因行動がみられるなどの特徴が明らかとなった。(3)フザリウム・ソラニの放出するMVOCsがアスペルギルス・フミガーツスとペニシリウム・パネウムの増殖を抑制し、胞子の成熟を早めることが同一シャーレ内での共培養による実験から判明した。その原因物質はGC/MSを用いた解析から、フザリウムの放出する2-ペンタデカノンが胞子成熟因子であり、ベンズアルデヒドがアレロパシー因子であることが示唆され、それぞれの標準物質の気体を培養へ添加する実験によって、これらの示唆が裏付けられた。(4)奈良大学との共同研究で、大阪府柏原市にある史蹟高井田横穴の線刻壁画のある壁から我々が分離したカビを用いて、当地と同じ凝灰岩を用いたin vitroの生育試験を行った。滅菌蒸留水を用いた培養では栄養分を添加していないにもかかわらず、すべてのカビが生育し、一定の相対湿度以上では胞子形成も確認できた。
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