研究課題/領域番号 |
20300289
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 晴彦 山口大学, 農学部, 教授 (40263800)
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研究分担者 |
荊木 康臣 山口大学, 農学部, 准教授 (50242160)
岩谷 潔 山口大学, 農学部, 非常勤研究員 (40418794)
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キーワード | 世界遺産 / 熊野参指道 / 苔類 / 植生 / モニタリング / 正規化植生指数 / NDVI / 分光反射 |
研究概要 |
2004年に世界文化遺産に登録された和歌山県の「熊野参詣道」では、世界遺産登録時には、観光客が急増し、世界遺産登録以前には参詣道周辺に繁茂していたコケ類植生は、短期間で衰退したものと考えられる。本研究では、世界遺産登録による観光客の増加の影響について、観光客の動向調査およびコケ類植生のモニタリングにより評価することを試みた。 熊野参詣道は、世界遺産登録により知名度が向上し、観光客が急増した典型型であり、観光客数は登録1年後の2005年にピークを迎え、近年では観光客はやや減少傾向にあることが分かった。そのため、コケ類植生のモニタリング調査は2007年から2009年の3力年実施したが、3力年のモニタリング評価では、顕著な植生の変化は認められず、NDVI値が高くなっていることから、観光客が減少傾向であることにより植生が回復しつつあることが示唆された。また、大門坂においては熊野那智大社側から大門坂登り口に向かってNDVI値が低下し、コケ類植生の衰退傾向が見られ、特に、県道に接している場所から立ち寄る通過型観光客が多いことが示唆された。 世界遺産登録による影響を「観光客」および「コケ類植生」の2つの観点から注目することにより世界遺産の保全状況を客観的に評価し、把握することが可能であることが示された。世界遺産の保全と観光の両立のためには、今後も、現状把握のための持続的なモニタリングを実施し、具体的な対策を講じていく必要があると思われる。
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