今年度も継続して、北海道開拓の村の歴史的建造物および小樽市内の歴史的建造物の劣化調査および周辺環境の調査を中心に行った。旧日本郵船株式会社小樽支店の建物では壁石表面のはく離が見られた。これは、これは壁石表面の冬季の凍結によるものと考えられる。 石材表面に撥水性や強度を上げるために塗られる表面含浸剤に関しては、国内外で使用されている14種類の表面含浸剤を、北海道の歴史的建造物の石材として使われている凝灰岩(札幌軟石)に塗布し、表面の性質や吸水性などを調査した。外観変化に関しては、ハンディー色差計で骨材部分を避けて測定し、光沢は、光沢度測定装置で、60°鏡面光沢度を測定した。この他、含浸深さの測定、透水性試験、透湿性試験、吸水性試験等を行った。 また、既往の重要文化財建造物の保存修理に関して、どの様な撥水剤、強化剤が使用されてきたのかを知る目的で、既往の修理工事報告書を調査した。
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