研究課題/領域番号 |
20300294
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60273827)
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研究分担者 |
相馬 秀廣 奈良女子大学, 文学部, 教授 (90196999)
豊田 新 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40207650)
竹村 恵二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201608)
横山 祐典 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (10359648)
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キーワード | 地形 / 第四紀学 / 土砂供給 / 気候変化 / 琵琶湖 / ESR / ルミネッセンス |
研究概要 |
最終年度となる平成22年度は、琵琶湖底ボーリング試料中に含まれる石英粒子のESR測定を行い、琵琶湖周辺に分布する基盤岩(花崗岩)に含まれる石英粒子のESR信号特性との比較を行った。分析対象とした約90~40万年前の砂サイズ試料については、前者のESR信号は、上層部をのぞき、Al中心信号、Ti-Li中心信号、Ge中心信号が相対的に大きく、El'中心信号が相対的に小さな石英粒子を起源とするものと、その逆のESR信号特性を示す石英粒子が混合した傾向を示すと解釈できる。そして、ある程度周期的に増減を繰り返しているように見えるので、これについては気候変動のような環境変化に影響を受けている可能性がある。また、中~上層のESR信号特性が、コア掘削地点西部に分布する比良花崗岩の影響を強く受けているように見えるのに対し、最下部約90万年前の砂層のESR信号特性は、北~東~南~(南西)に分布する江若、貝月山、鈴鹿、信楽、(比叡)、のいずれか、またはいずれか複数の花崗岩の影響を受けているように見える。 本年度は、上記のようなESR信号特性の検討に加え、ルミネッセンス特性を利用した石英粒子の起源推定に関する検討も深化させた。その結果、110℃熱ルミネッセンス信号の感度変化特性は、最下部約90万年前の試料と、それより上位の試料で大きく異なることが明らかになり、とくに前者は後者にくらべると、コア掘削地点の南方に位置する野洲川の運搬する掃流物質の影響を強く受けていたのではないかと考えられた。 なお、データ数は少ないが、上記のような成果に加えて、石英粒子中の10Beの濃度変化の計測結果から推定できる堆積物供給環境の変化についても検討し、前2者の成果と合わせ、総合的な報告書を作成した。
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