研究課題/領域番号 |
20310004
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
内海 真生 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60323250)
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研究分担者 |
内田 昌男 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 研究員 (50344289)
熊本 雄一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 技術研究主任 (70359157)
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キーワード | 物質循環 / 海洋 / 化学合成独立栄養 / 古細菌 |
研究概要 |
本研究の目的は、海洋DOC炭素の短期的な炭素循環に果たす微生物の役割を明らかにすることである。手法として、微生物のrRNA、細胞膜脂質分子の放射性炭素(<14>^C)同位対比を測定するが、その際、極微量AMS分子レベル<14>^C分析を駆使する。具体的なアプローチとしては、以下の2点の解明をめざす。1.赤道太平洋から北太平洋・北極海にかけて観測トランセクトをもうけ、DOCフラクションの微生物バイオマス(rRNA、細胞膜脂質分子)、DOC,DICの<14>^C測定を行い、表層海水に生息する微生物の炭素源(fresh carbonかold carbonか)とその代謝(従属栄養か独立栄養)について明らかにする。2.さらに上記の結果を踏まえて、<14>^Cによるマスバランスモデルとボックスモデルを用いて、微生物が用いるDOC炭素のターンオーバー時間を求め、海洋表層の一次生産量と従属栄養・独立栄養として微生物バイオマスが果たす役割について定量的に解明する。 H22年度は、1.「みらい」による北極海(MR10-05)航海に乗船し、表層海水大量ろ過(数万L)、各海域・各水深海水の大量採取ろ過(100~500L)細菌群集構造解析用試料採取を実施した。2.静岡県焼津市駿河湾で漁船を使用した現場採水・培養調査を実施した。3.微生物代謝活性解析用にRNA-sip法を駿河湾現場培養実験から検討した。これまでに、北極海他のDIcの<14>^C測定を完了し、北極海海洋水柱の真正細菌、古細菌(ユーリアーキオータ、クレンアーキオータ)群集密度の水平・垂直分布および群集構造の解析、太平洋側北極海における独立栄養古細菌群集による有機炭素生産量の見積もりを行った。一方、膜脂質<14>^C分析に関して、数万Lの海水試料からの抽出が完了したが、解析に有効な値を得るためには試料量の更なる上積みが必要となることが明らかとなった。
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