研究概要 |
本研究は,中国東北部黒龍江省・内モンゴル自治区の山頂火山湖(中国語で「天池」という.)の堆積物コアから高精度の気候変動シグナルを解読し,炭素14年代キャリブレーションカーブの信頼性を向上することを目的としている. 本年度は,加速器質量分析計を使った炭素14年代測定を韓国・地質資源研究所(KIGAM)及びアメリカ・カリフォルニア大学アーバイン校(KCCAMS)と協力して進めた.研究対象の堆積物の炭素14年代測定を高密度に行なうためには,微量試料を扱う必要がある.試験的な微量試料の炭素14年代測定結果から,試料調整中の外来炭素の混入が重大な問題であることが明らかになった.微量試料の炭素14年代測定の結果の信頼性の向上を図るため,PC制御の試料調整装置の研究開発など,この問題の解決に向けた取り組みを行なった.さらに,本研究で新たに開発した堆積物のUV画像解析装置(PC制御可能な自動ステージ上の堆積物のUV画像を自動的に取得可能),LAICPMS法による堆積物の高時間分解能な元素分析(気候変動解析に用いるためにはさらなる研究開発が必要)や従来型の地球化学分析・同位体分析を実施し,現在,そのデータを総合的に検討することで,過去の気候変動シグナル(大気循環や降水量の指標)を解読するための考察を行なった(発表論文を参照).現在,内モンゴル自治区のAersan天池から採集した湖沼堆積物試料,その他関連する試料の各種地球化学分析・堆積学的分析の結果を踏まえ,中国東北部黒龍江省の天池から採集した堆積物の分析の手順について検討を行なっている.
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