研究課題
平成20年度は、エアロゾル粒子の水溶性/非水溶性物質の割合を知るために、走査型共焦点レーザ顕微鏡を新規に導入した。本装置を用いての水平長さ(面積)と高さの測定精度を知るために、大きさが既知のPSL粒子や粒径分布が既知の石英粒子、NaCl粒子など、種々の試験粒子について計測した。その結果、直径3ミクロン以上であれば、十分に体積の変化を計測できることがわかった。当初はもう少し小さい(直径1ミクロン弱)粒子まで解析できることを期待していたが、本研究で導入した装置については、水平方向では光学顕微鏡とほぼ同じ程度の大きさが限界であった。しかし、高さ方向の分解能には優れているので、3ミクロン以上の粒子であれば体積の変化として十分検出可能であることがわかった。実際の大気エアロゾルは不定形なので、急角度の面についての計測は難しいが、従来の電子顕微鏡によるシャドーイングに比べれば、はるかに精度の高い観察が可能である。また、大気エアロゾル粒子の捕集するにあたり、本研究に適した方法を模索した。その結果、従来から用いられているインパクターとコロジオン膜を用いた方法では、直径5ミクロン以上の粒子の場合には、水透析の前後でコロジオン膜からの高さが変わってしまう可能性のあることがわかった。このため、ヌクレポアフィルターを用いた採取方法を検討した結果、粒子の支持という点でこちらの方が従来法より優れていることがわかった(担当:長田)。また、氷晶化能力を測定するための連続流型熱拡散チェンバの制御について検討するなど、次年度からの個別粒子解析との融合実験の準備を進めた(担当:持田)。
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Journal of Geophysical Research 113
ページ: doi : 10.1029/2007JD009302
ページ: doi : 10.1029/2007JD009410