研究課題/領域番号 |
20310017
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (80161727)
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研究分担者 |
齋藤 健 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40153811)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (30142194)
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キーワード | 胎盤細胞 / 次世代影響 / アポトーシス / 神経分化 / PC12細胞 / Bewo細胞 / LTP / 神経スパイン |
研究概要 |
本研究において、内分泌撹乱化学物質の生体影響評価法開発の研究に加え、人工胎盤様膜を構築する研究を融合させさらに発展させる。つまり、人工胎盤様膜を改良し、その膜を用いて内分泌撹乱化学物質の胎盤膜透過性を調べ、その胎盤様膜を透過した内分泌撹乱化学物質の濃度が生体にどのような影響を及ぼすかということを培養細胞系のシステムを用いて評価するものである。 本年度は、胎盤透過性薬剤およびデキストランを用いて良好な成績を修めた条件下でヒト胎盤細胞を用いた模擬人工膜の内分泌かく乱化学物質を含む化学物質の透過性を評価した。重金属等の透過性は低く胎盤関門様のものが存在している可能性が考えられた。しかし、ノニルフェノールおよびビスフェノールAなどは膜の細胞に多量に蓄積もするが一定濃度以上が膜を通過していることが確認できた。一方、内分泌攪乱化学物質のアポトーシスへの影響、および神経細胞への分化の影響評価に関しては、ビスフェノールを暴露した際にはErkおよび、Mekのリン酸化が阻害され、またノニルフェノール曝露でCaspase 3および9の活性上昇、トリブチルスズ曝露で活性阻害が確認され、これらの影響評価系への応用が可能であることが示された。また内分泌撹乱化学物質の新しい評価法として、トリブチルスズのHPに対する応答減少および神経スパインの減少が見出され脳機能に対する評価方法も確立された。以上の成果をもとに本年3月に投稿論文を作成し投稿した。本結果からヒト胎盤細胞を用いた模擬人工膜とPC12細胞を用いた影響評価系を組み合わせることで次世代影響評価が可能であることが示されたが、今後実用化に向けてさらに詳細な検討が必要である。
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