今年度の研究では、地球環境ガバナンスにかかる諸機能をいかなる行為主体や行為主体のネットワークが充足しているかという観点から、地球環境ガバナンスの有効性とそのパフォーマンスの程度を評価する手法を開発することに注力した。Norichika Kanie and Peter M. Haaseds.(2004)の最終章の結論部分でまとめられた、ガバナンスの諸機能とそれらの諸機能を充足する行為主体ならびに行為主体のネットワークの仮説的マトリクスを方法論の出発点とし、研究協力者であるマサチューセッツ大学アマースト校政治学部Peter M. Haas教授およびナンセン研究所(ノルウェー)Steinar Andersen博士との密な議論を通じ、ガバナンスの諸機能という概念を諸行為という概念に変更したうえで、今後の研究での検討課題となるリサーチ・クエスチョンを同定した。一方で、環境ガバナンスのパフォーマンス分析手法の本研究課題への適用も検討したが、パフォーマンスの評価と、そのパフォーマンスを充足する(ネットワーク化された)行為主体の関係をする手法をいかにしてガバナンスの行為分析と結合させるかについては年度内に結論を得ることができず、今後の検討への課題を残すこととなった。
|