研究課題/領域番号 |
20310025
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 泰子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30310527)
|
研究分担者 |
石井 敦 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
太田 宏 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70288504)
|
キーワード | オゾン層保護 / 気候変動 / 地球温暖化 / 科学アセスメント / 環境政策 |
研究概要 |
平成20年度では、気候変動とオゾン層破壊の相互連関に特化した気候変動に関する政府間パネルとモントリオール議定書の技術経済評価パネル合同によるアセスメント(IPCC/TEAP特別報告書)を研究対象とし、オゾン層レジームの過去の科学アセスメントの歴史的文脈を踏まえた実態調査(文献調査、インタビュー)を行った。その結果、IPCC/TEAP特別報告書は大気化学を中心とした科学アセスメントとその他の技術アセスメントに分かれ、それぞれの影響力の因果経路が異なるため、科学アセスメントに関する従来の社会科学的分析を同報告書にそのまま適用することができないことが判明した。また、TEAPはIPCC/TEAP特別報告書の後に、同様の内容の報告書をモントリオール議定書締約国会合のために別に作成しているが、これはIPCC/TEAP特別報告書のフォーマットが必ずしもオゾン層レジームの文脈に合っていなかったためであることが分かった。また、オゾン層レジームでは、オゾン層破壊による悪影響に関する科学的知見がモントリオール議定書の成立に影響力をもったとする研究もあるが、実態としては、オゾン層レジームの科学アセスメントでは悪影響に関する知見が焦点となることは避けられてきており、実際にはあまり直接的な影響力がなかった可能性が高いことが判明した。一方、アメリカの温暖化政策の最新状況についての実態調査の結果、1.現、オバマ政権が経済危機を乗り切るために打ち出しているグリーンニューディールは、政策的相互連関に基づいた考え方であること、2.エネルギー・気候変動・環境政策調整官の新設は、相互連関の考え方が新政権下の制度的文脈に組み込まれていることを示すものであること、などが分かった。
|