研究課題
本研究プロジェクトの目的は、地球温暖化とオゾン層破壊問題との相互連関に焦点を当て(1)相互連関の統合レベルを評価するための概念枠組みを構築する、(2)日本・アメリカの政策的相互連関に関する国内政策および外交態度における統合レベルを評価し、各国の統合レベルの違いを説明する、(3)上記(1)と(2)を併せたより包括的な相互連関に関する外交姿勢の理論開発を行うことである。(1)に関しては、KivimaaとMickwiczの概念枠組みの改良を行った。(2)に関しては、気候変動レジームの有効性が、経済規模の大きさと温室効果ガス排出量の多さを基に分類される大国(例:米国や中国)の国際政治経済要因に左右される点を強調した。と同時に、オラン・ヤングのレジームの有効性一つである、国内の再編を仲介するレジーム(国内の諸勢力の再編に影響を与えることによって、政府の国際的協力行動に変化をもたらす)として、国際合意が大国国内の政治経済状況を変化させ、大国そのものの行動の変容を導く可能性を示唆した点で、レジームの相互作用分析に関して、オゾン層レジームとの比較的視点を提示する意義がある。また、日本の国内政治と気候変動レジームとの間の相互作用を分析した上で、国際的な協力体制の弱体化や国内の政治的なリーダーシップが欠如すると、産業界と経済関連の省庁が気候変動政策の実権を握る傾向が明確化する。環境政策統合の視点からすれば、環境省対経済産業省ならびに産業界との間の政策的対立が際立ち、気候変動政策の有効性や一貫性を欠くものになっていることが判明した。(3)に関しては、オゾン層と気候変動の各レジームによる相互連関管理に関する政策オプションとその有効性に関する分析を行った。その結果、各レジームを統合化するよりも、個々に相互連関に対処したほうが結果的に有効性が高まる場合があることが示唆された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
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