研究課題/領域番号 |
20310032
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
坂下 哲哉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (30311377)
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研究分担者 |
石井 直明 東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
簗瀬 澄乃 大東文化大学, スポーツ・健康科学部, 講師 (90249061)
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キーワード | 放射線 / 酸化ストレス / 神経科学 / バイオセンサー / システムバイオロジー |
研究概要 |
本研究の目的は、『線虫の感覚神経細胞における放射線を感じるメカニズム、及び感受したシグナルの神経ネットワークを介した学習行動への影響メカニズム(伝達経路)』について明らかにすることである。 平成21年度に構築した、濃度勾配が1から100mMのNaCl濃度が連続的に分布する条件で評価が可能な新規化学走性試験方法を用いて、平成22年度は、雇用した実験補助者とともに野生型の線虫を用いて、試験プレート上での線虫の分布と時間的な変化にかかわる基礎データの取得を行った。その結果、濃度の広い分布領域での1時間半にわたる線虫の挙動を追跡した結果、従来の試験方法で得られていた線虫の特性が、線虫の挙動のごく一部を反映したものにすぎないことが明らかになった。 平成23年度は、さらに、放射線の照射効果にかかわる遺伝子を明らかにするために、各種変異体の解析を実施した。研究分担者である石井、簗瀬により、用いた変異体についての遺伝子解析を実施した。嗅覚および化学走性の情報処理に関わる遺伝子が、本研究で対象とした現象にも関与することを明らかにした。加えて、線虫の神経ネットワークの中で学習行動への影響を及ぼす部位を明らかにすることを目的として、麻酔をかけずに線虫を固定する実験系を新たに構築し、マイクロビーム照射実験を実施した。その結果、線虫の放射線が照射される部位により応答が異なることが分かった。さらに、線虫の学習行動に対する放射線影響を明らかにする上での重要な基礎知見である、酸化ストレスに関与する因子についても、学会にて発表を行った。これらの研究成果は、哺乳動物等にて報告されたこれまでの成果に対して、新しい視点、知見を加える点で意義がある。
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