研究課題/領域番号 |
20310040
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 徹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40186945)
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研究分担者 |
上原 伸夫 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50203469)
松宮 弘明 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10362287)
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キーワード | 温度感応性高分子 / 反応性官能基 / 排水処理技術 / アルデヒド / フェノール / チオール / 金コロイド / 酸化酵素 |
研究概要 |
近年の排水処理技術の進歩は著しく、以前では有効な対策が限られていた汚染物質も効果的に除去できるようになった。しかし、フェノール等いくつかの有機汚染物質の除去は未だに不十分であった。これは、これらの物質が高い水溶性を持ち、微生物に対する毒性が極めて高いためである。本研究では、有機汚染物質に含まれる置換基と強固な化学結合を形成する反応性官能基を高密度に配置した温度感応性高分子を調製し、有機汚染物質の除去に用いた。今年度は、前年度までに除去が達成されたフェノール系化合物の範囲をさらに拡げるとともに、除去時間の大幅な短縮について検討した。アミノ基含有高分子としてキトサンの代わりに、ポリアリルアミン等の高分子をグラフト化させた温度感応性高分子を調製し、300ppmのフェノールの除去を達成した。 また、フェノール酸化酵素として、チロシナーゼとペルオキシダーゼー過酸化水素系を比較したところ、後者が広範なフェノール系化合物の迅速除去に有効であることを明らかにした。排水中にフェノール系化合物を添加したモデル排水を用いた検討では、置換基の種類や位置によらず、多くのフェノール系化合物が除去された。 さらに、エストロゲンやフェノール系薬物などフェノール構造を有する成分の除去にも適用できた。また、調製された高分子はアルデヒドの除去にも有効であり、医療器具の消毒剤に含まれる高濃度オルトフタルアルデヒドを完全に不活性化し、除去することができた。併行して、反応性官能基含有温度感応性高分子媒体中の金ナノコロイドとの凝集制御によるチオールをはじめとする有機汚染物質の新規センシング技術を創案し、対象化学物質の動向をリアルタイムで把握することができるようになった。
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