研究課題
本研究は、1)高等植物におけるフェノール系環境ホルモン無毒化代謝機構を解明し、それらの代謝に機能する遺伝子を単離すること、2)1)で単離する遺伝子資源(BPA代謝鍵酵素遺伝子)を小胞輸送工学的手法を利用して植物に導入することによって、難分解性フェノール系化合物代謝能の高い植物を分子育種すること、3)上記1)2)で得られる浄化植物を水処理用水耕栽培システムに組込み、実際の廃水に含まれるターゲット汚染物質を高効率に除去できることを検証し、新規高度水処理システムとしての事業化シーズを提供することを目的とする。平成22年度は、21年度に同定された高いBPA浄化能を有するポーチュラカのBPA代謝を担うと考えられるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)及びペルオキシダーゼ(PRX)の遺伝子についてさらに解析を進めた。前者については、植物中の局在性が異なる複数のアイソザイムをコードする遺伝子を大腸菌で発現させることにより、アイソザイムのタンパク質レベルでの詳細な機能解析を行い、どのアイソザイムが主にBPA代謝を担っているのかを明らかにした(大阪大学担当)。後者については、PPOと同様に、植物中の局在性が異なる複数のアイソザイムが存在することを明らかにし、さらにこれらのBPA代謝における役割について解析を行なうことにより、PPOとの共同及び単独でのBPA代謝系が存在することを示唆した(奈良先端科学技術大学院大学担当)。このような共同研究によって、ポーチュラカにおけるBPA代謝機構を明らかにすることができた。さらに、酸素存在下で非常に強いBPA代謝活性を有するPPOについては、植物を用いるよりも効率の良いBPA処理システム及び高感度で酸素を検出・モニタリングできるバイオセンサの開発に向けた基礎研究として、固定化技術について検討を行い、固定化しても十分な活性が得られることを確認した。
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