研究概要 |
植物油からバイオディーゼル燃料(BDF)を製造する際には、触媒等の不純物を除去する必要がある。通常は、大量の水を用いた抽出により不純物が除去されている。その結果、水資源の消費が起こると共に排水処理が必要となる。そこで本研究では、水使用量を先行技術の1,800分の1に削減することを目標として、乳化・解乳化による精製技術の構築を目指している。 本年度は、BDFの標準物質であるオレイン酸メチルの密度および粘度の温度依存性を測定し、各処理温度における不純物除去速度の算出を行った。あわせて、オレイン酸メチルに対するカリウムの溶解度およびオレイン酸メチル・水系におけるカリウムの分配係数から、2回抽出を実施する際の水必要量を算出した。これらの結果から、不純物の除去は10分程度以内に完了すると期待されること、理論的な水使用量は従来の1,150分の1以下であることなどを明らかにした(カリウム触媒を用いた場合)。また、ナトリウム触媒を用いてエステル交換反応を行った際の粗製BDF中のナトリウム濃度について、知見を蓄積した。この結果に基づいて、来年度以降、精製実験を行う予定である。さらに、日本独自の規格である低級脂肪酸(ギ酸、酢酸およびプロピオン酸)について、測定方法を検討した。他の不純物と一斉分析可能となることが望ましいが、本年度は分析方法を確立できなかった。一斉分析方法は確立できなかったが、精製の研究に必要な個別測定方法を確立することができた。
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