研究概要 |
植物油からバイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel, BDF)を製造する際には、触媒等の不純物を除去する目的でBDFの水洗処理が行われており、製造されるBDFの40-300%程度の廃水が発生している。そこで本研究では、水洗によりもっとも除去しにくいアルカリ金属分に着目し、BDFへのアルカリ金属の溶解度および水-BDF系におけるアルカリ金属の分配係数を求め、水洗に必要な水量を求めることを目的としている。 本年度は、アルカリ金属分として、ナトリウム分を取り上げて検討した。その結果、菜種油由来のBDFおよびBDFのモデル物質として用いたオレイン酸メチルへのオレイン酸ナトリウムの溶解度はきわめて低いことが明らかとなった。オレイン酸ナトリウムの溶解度は、昨年度検討したオレイン酸カリウムの溶解度より低かった。また、分配係数を測定したところ、カリウム分よりナトリウム分の方が分配係数は大きく、水により抽出されやすいことが明らかになった。これらの結果をもとにして、ナトリウム分の抽出に必要な水量を求めたところ、従来の水使用量の1,740分の1以下であることが明らかになった。この水使用量は、申請時の目標である1,800分の1をほぼ満足している。今回求めた分配係数は実サンプルを用いて測定した値であるが、分配係数は共存物により影響を受ける可能性がある。このため、影響が大きいと予想される共存物について、その影響を検討する必要がある。
|