本テーマでは各種レーザーを用いてアスベストの溶融・ガラス化法を検討し、効果的なレーザー光源、レーザーの連続照射・パルス照射、エネルギー量などを検討し、アスベスト溶融分解に有効照射条件を検討した。本年度は、レーザー照射によりアスベスト含有スレートの分解処理を試みた。スレート材に直接照射した場合は、レーザー装置の出力が小型(50W)であるため、1x2cmの面を走査して分解した場合は、溶融分解部分がスレート材の暑さの1/3~1/4程度までであった。 本年度は、スレート材に脱水の前処理を行い、レーザーエネルギーが溶融処理用のエネルギーとなるようになったことから、10x20mmの溶融処理面に対してレーザー照射口を移動する走査条件でも6mmのスレート板をレーザーが貫通するように溶融分解が進行した。スレート板の内部は均一でないため、貫通する部分と止まってしまう部分があるが、裏表からのレーザー照射により、高速走査でもスレートの溶融分解が可能であることがわかった。 溶融部、変色部、処理時の散粒子について、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡の観察から、溶融スレート中にはアスベストは存在しないが、非溶融部中にはアスベスト由来繊維が見られた。また、レーザー照射時のレンズ保護のための空気吹き出しによる溶融物飛散微粒子中に、スレート表面付着のベスト繊維と見られるものが観察されたが、その割合は僅かであった少なかった。
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