研究課題
本研究の目的は、独自開発した電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光法(Bias nc-AFM/S)を発展させ、探針と試料を極接近させたときに試料表面上の原子・分子と探針先端原子との間で進行する結合形成の過程・電子状態の変化を明らかにすることである。1.高感度力センサーの開発:東北大・安部隆准教授の協力の下、研究協力者(堀)が東北大・マイクロ・ナノマシニング研究教育センターで水晶振動子高感度力センサーの開発を予定していたが、センターで火災があり、装置使用が困難になり、また、安部准教授が新潟大学教授に異動になった。そのため本計画中の高感度水晶振動子力センサーの独自開発は困難になった。その代わりに、既存の水晶振動子を力センサーとして、応用する手法を検討した。2.ナノピラー成長技術に基づく探針調製と評価:研究代表者らはSi探針先端にSi単結晶ナノピラーを成長させる技術を開拓してきた。GeはSiとの格子不整合によりSi(001)上にクラスター状に成長する。この特性を利用して、Siナノピーラー探針上にGeクラスター探針を成長させた。また、Siナノピラー探針を水素終端、アミノ化するための、水素クラッカー機構、アンモニアガス導入機構をnc-AFM超高真空チャンバーに組み込み、水素化探針を用いて、標準試料(Si(111)7x7清浄表面)をnc-AFM観察し、探針を評価した。3.分子系試料の調製と測定:両末端にアミノ基を有するターフェニル分子(DAT)をSi(111)7x7と(001)2x1表面に真空蒸着した。その表面を電圧依存STMとXPSで解析し、吸着構造の差異を明らかにした。また、(111)面上DATの他端のアミノ基に向けてSiを接近させる実験も進めたが、明確な結合形成の証左を得るに至っていない。
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