研究課題/領域番号 |
20310063
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
倉持 宏実 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (20469761)
|
研究分担者 |
高野 史好 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ電子デバイス研究センター, 研究員 (50392626)
眞砂 卓史 山口東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (50358058)
浅田 裕法 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (70201887)
|
キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / 計算物理 / 磁性 / 超精密計測 |
研究概要 |
本年度は、磁性材料の物性が探針の磁化状態に及ぼす影響に関する実験、及び、探針の磁化状態の計算を行い、比較検討を行った。また、その結果を踏まえて、MFM探針からの漏洩磁界を取り込んで試料の磁化状態の計算を推進した。 実験:高分解能の起源解明には探針の磁化状態が鍵であると考え、物性の異なる磁性体を蒸着する事により、探針の磁化状態を実験的に変化させた。その結果、飽和磁化の大きな材料であるほどMFMシグナル強度が強く、分解能が高い事が分かった。磁性微粒子に関する研究は、発表には至らなかったが、微粒子の固定を確実にする事、高さ(直径)の影響を小さくする必要があることが分かり、様々な実験的工夫を重ねた。 計算:CNT-MFM探針の磁区構造について、コート膜厚依存性、材料依存性、ピラミッド形状の通常MFM探針との比較を行った。その結果、CNT-MFM探針では、コート厚は薄く、材料は飽和磁化が大きい方が磁場中において安定であり、円筒形状に起因した形状異方性による効果が大きいことが確認できた。更に通常形状では還流磁区的構造が安定であり、先端部分の磁化のみが試料面に垂直になるという、既存の認識とは異なる磁気構造が得られ、磁場中安定性も非常に悪い事が分かった。現在、これらの結果と分解能の関係について検討中である。 この結果を受け、MFM探針からの漏洩磁界を取り込んで試料の磁化状態を計算し、対称及び非対称90°ネール磁壁のMFMシグナルへの磁気的擾乱の影響について検討を行なった。非対称ネール磁壁の方が対称ネール磁壁よりも漏洩磁界の影響を受け易く、膜垂直成分と探針磁化方向の組み合わせにより影響が異なることがわかった。CNT探針の低擾乱性について検討する為に、漏洩磁界を通常探針と比較したところ、振幅が小さい事に加え、極めて局所的であることから、交換相互作用等による擾乱効果の抑制効果が大きいことがわかった。
|