研究概要 |
バイオナノツールとして、神経成長阻害バイオナノツールをガラスキャピラリー先端部に集束イオンビーム(FIB)CVDにより作製した。CVDガスとしてフェナントレン(C_<14>H_<10>)を用いた。堆積材料はダイヤモンドライクカーボン(DLC)であることを、放射光XAFSにより確認した。この神経成長阻害バイオナノツールの機械的強度を走査プローブ顕微鏡のカンチレバーによるヤング率測定により行い、100GPaと十分な機械的強度を有することを確認した。さらに、FIB-CVDにより作製した立体バイオナノツールとガラスキャピラリー先端部との界面状態を知るために、モンテカルロ計算によるGaイオンの侵入深さを計算した。その結果、Gaがガラスキャピラリー先端にイオン注入された深さが20nm程度であった。神経成長阻害バイオナノツールを実際のバイオ実験に使用した結果、操作性、強度共に有用に機能することが実証された。 FIB-CVDの立体ナノ構造作製は、5nmの径に収束したGaイオンの一筆書きであるため、スループットが低い。これを解決するために、FIB-CVDによって作製した立体ナノ構造をモールドとしたナノインプリントによる複製転写技術を開発した。FIB-CVDとナノインプリントを組み合わせることにより、従来の2次元転写から3次元転写へと展開した。転写材料としてはSU-8,光硬化樹脂(NICT3420),HSQを用いて行った。SU-8及びHSQにより作製された構造は600℃のアニール処理後でもパターンを維持していた。FIB-CVDにより作製した3次元構造体のナノインプリントは、今後の重要かつ不可欠の技術であると確信している。
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