研究課題/領域番号 |
20310076
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
古川 一暁 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主任研究員 (40393748)
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研究分担者 |
樫村 吉晃 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 社員 (90393751)
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キーワード | 人工生体膜 / 脂質二分子膜 / 支持膜 / 動的分子操作 / バイオインターフェース / 単一分子 |
研究概要 |
平成20年度の研究計画にしたがい、以下の2点について主に研究を進めた。 1.本研究に必須の実験装置の立ち上げを完了 具体的には水浸対物レンズおよびCCDカメラを備えた正立型蛍光顕微鏡を購入し、ここに基板と電場印加・電気計測のための外部電子機器(電源、電流計)との接続用インタフェースを備えたステージを設置した。下記の2.で問題になった、基板から電極を取る試料周りの構造を工夫し、より安定に外部電子機器との接続を行うように改造した。 2.埋めこみ電極を有する基板の試作と最適化 埋めこみ電極を有する基板の試作を行った。埋めこみ電極の平坦性については、予想していたように埋めこみ電極エッジ部での凹凸が不可避であった。しかしながら、この埋めこみ電極基板表面に作製した支持膜が流動性を保っていることを、フォトブリーチング後の蛍光回復(FRAP)により確認した。これにより、本課題の目標である埋めこみ電極からの印可電界による動的分子操作を実現するための条件をクリアした。 さらに埋めこみ電極から電界を印可すると、Texas Redつきの脂質がマイナス極に集まる現象を観察した。しかしながらこの実験の再現性は乏しい。その原因のひとつは電極の印可の実験系が不安定であることであり、これを解決するために試料の形状や大きさを設計し、さらに1.の実験系の改造を進めた。もう一点は分子の移動の自由度が2次元無限平面であるため、広すぎる拡散範囲が観察を困難にしている点がある。これは埋めこみ電極基板の上部にさらにパターン構造を作製し、支持膜の位置を上部からも特定することで解決できると考え、この基板を作製した。上部パターンの作製に種々の材料を試したところ、ポリイミドが材料としての安定性が高く、基板の作製上も有利であることを明らかにした。
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