研究課題/領域番号 |
20310081
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金澤 雄一郎 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (50233854)
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研究分担者 |
S.J. Tumbull 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (90240621)
明城 聡 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (70455426)
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キーワード | ランダム係数ロジットモデル / 一般化モーメント法 / ベイズ推定手法 / 確率的等連続性 / マルコフチェインモンテカルロ法 |
研究概要 |
差別化された製品の需要推定は、ブランド価値の評価や価格設定などマーケティングにとって重要な問題の研究に必要不可欠である。しかしながら高価で市場規模が大きい自動車のような耐久消費財の場合、スキャナーデータなどが存在せず、製品の市場シェアとその特性のみが公開データとして入手可能な場合も少なくない。平成16~19年度において研究代表者らが進めてきた頻度理論に基づく研究結果および平成20年度において研究代表者らが進めてきたベイズ理論に基づく研究結果を踏まえ、本研究ではそのような状況において、1)消費者の購買パターンと人口動態的な情報を関係付ける付加的な情報が入手可能な場合の頻度理論に基づく推定量の漸近的な結果を理論的に導出し、2)これらの結果を多期間にわたるダイナミックチョイスの問題に拡張する準備を行なった。 需要側にはCobb-Douglas型効用関数を仮定した。供給側はF個の生産者が存在し、J個の製品が提供されている寡占市場においてベルトラン競争を行い、自らが生産する個々の製品から得る利益を最大化すると仮定した。消費者の所得水準がある範囲にある時、その消費者が北米・日本・ヨーロッパ製品を購入する割合など製品特性と消費者の人口動態的な情報の相関を示す情報が得られ、かつこの情報は製品シェアの情報と独立に取得されていると仮定した。 以上の設定のもとで、頻度理論に基づく推定量の漸近的な結果を理論的に導出し、それが単に一致性と漸近正規性をもつだけでなく、付加的な情報がない場合に比べて漸近分散・共分散行列の大きさが小さくなるいわゆる漸近効率性をもつことを確かめた。このことは係数分布型ロジットモデルによる単期間需要推定モデルの精度を大幅に改善することができることを意味する。
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