研究課題/領域番号 |
20310083
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
猿渡 康文 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (00292524)
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研究分担者 |
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40400626)
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40431663)
櫻井 哲朗 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 助教 (60609741)
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キーワード | 情報伝播・拡散 / モデル化 / 消費者行動 / 投資行動 / オピニオン形成 / ウィルス拡散 / コンテージョン / マルチエージェント |
研究概要 |
アフリカ諸国における民主化の広がりやSNSにおける情報の拡散・伝播など、物理的な距離を超えて瞬く間に世界中に広がる「社会的なイベント」は現代社会における身近な現象のひとつである。本研究は、このような社会的なイベントを「情報」と捉え、その情報が参加者の相互依存の関係が内包される環境において時間的推移を伴って拡散・伝播するメカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は、本研究の核となる、情報拡散・伝播の担い手である参加者個人の行動を規定するマイクロな側面と、参加者の結合・相互作用の結果生じる情報伝播のマクロ的側面の理論モデルの精緻化ならびに深化を行った。実データならびにシミュレーションを用いた検証も実施した。 (マーケティング領域)「個人投資家の投資行動」については、投資家個々が有する特異性を加味した情報獲得および伝播の行動モデルを構築し、ベイズ理論を応用した拡張を行うことで説明力の向上をはかった。また、投資家間の情報共有を核としたネットワークモデルを構築した。「マーケティングにおける購買行動」についてもクチコミの伝播を取り上げモデルの拡張を行った。 (情報通信ネットワーク領域)「インターネットをベースとしたオピニオン形成プロセス」に関してマイクロモデルの深化をはかるとともにマクロモデルを構築した。モデルの検証を行っている。また、当該研究に関連する最新の研究成果の共有を促進することを目的に、「情報伝播のメカニズム分析~情報・ネットワークにおける先端研究~」と題した研究会を開催した。 (株式・通貨領域)「機関投資家の投資行動による"Contagion"」のマイクロモデルの理論モデルの精緻化をはかった。特に、価格情報の伝播について検討を加えた。 得られた成果は論文としてまとめ、投稿の予定である。なお、A H1N1インフルエンザの伝播モデルはその成果を国際会議で発表した。.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いずれの領域においても、マイクロな側面の情報形成のメカニズム、マーケットなどの参加者の視点から、形成された情報への接触、情報の価値評価ならびに取捨選択のメカニズム、続いて、購買・投資といった行動への結びつきのメカニズムに関するモデルの精緻化および深化が順調に進展し、さらには、マクロ的側面における参加者の組織的な結合や相互作用を加味したマーケット全体での情報伝播のメカニズムのモデル化を実現している。
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今後の研究の推進方策 |
研究の完成段階に近づいており、計画通りに研究を推進する。実データやシミュレーションによる検証、ならびに成果のまとめに注力する。
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