研究概要 |
平成21年度は,前年度得られた結果のさらなる発展および被験者を用いた実験,計算機実験による検証を行った。また,前年度に引き続き,現在の特許制度の問題点に関する資料収集,聴き取り調査を行った。研究成果は以下の通りである。 (1)特許所有者が特許使用料を提示し,その料金のもとで需要者がライセンスを受けるかどうかを決定するいわゆる価格提示方式,およびオークションによるライセンスに関する非協力ゲームによる理論的研究をサーベイするとともに,その結果を,被験者を用いた実験,計算機実験により検証した。 (2)ライセンスをめぐって特許所有者と需要者の間で交渉が行われる状況の協力ゲームを用いた研究を更に推し進め,新たな理論モデルを構築した。 (3)(2)のモデルをもとに被験者を用いた実験,計算機実験を行い,モデルの改良を行った。 (4)「特許の藪」に起因する「アンチコモンズの悲劇」の実態を資料の収集および聴き取り調査によって明確に把握し,実証研究のサーベイを行った。 以上の結果を,研究代表者,分担者それぞれが自らの所属する国内外の学会で積極的に発表して情報発信を行うとともに,研究の方向性,困難な点への対処法などについて情報収集を行った。
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