研究概要 |
平成22年度は,前年度までに得られた結果のさらなる発展および被験者を用いた実験,計算機実験による検証を行った。また,前年度に引き続き,現在の特許制度の問題点に関する資料収集,聞き取り調査を行った。研究成果は以下の通りである。 (1)平成20,21年度の研究から得られた新技術の生産およびライセンスのモデルをもとに,アンチコモンズの悲劇の原因となる新製品の製造・販売に多数の特許が関わる「特許の藪」について,その発生を分析する理論モデルを構築した。 (2)(1)のモデルをもとに,どのような状況であれば,「特許の藪」が「アンチコモンズの悲劇」をもたらすかを詳しく分析し,計算機を使用した数値計算,シミュレーション実験による分析を行った。 (3)(2)で「アンチコモンズの悲劇」がもたらされる状況において,間接安定集合の考え方に沿って特許所有者と需要者が行動した場合に,新製品の製造・販売に関わる特許の数を減らし,アンチコモンズを回避できるかどうかを詳しく検討した。 以上の結果を,研究代表者,分担者それぞれが自らの所属する国内外の学会で積極的に発表して情報発信を行うとともに,2011年2月28日-3月2日に東京工業大学においてゲーム理論に関する国際会議を開催して,特許ライセンスのセッションを設け,今後の研究の発展に関して議論を行った。
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