研究概要 |
本研究の目的は,新技術の生産および特許権のライセンスを通しての流通をゲーム理論の視点から分析することである。 (1)価格提示方式ライセンスの実験による検証:1980年代以降のライセンスの理論的研究は,価格提示方式の非協力ゲームによる定式化と部分ゲーム完全均衡を用いたものがほとんどである。しかしながら,部分ゲーム完全均衡がもたらす結果は,必ずしも実際のわれわれの行動を反映していないことがある。本研究期間内に,綿密な実験とシミュレーションを行い,価格提示方式のライセンスがどのような結果を導くかを詳しく検証する。 (2)交渉によるライセンスの理論的研究とその実験による検証:特許所有者と需要者との間の交渉を通してのライセンスの理論的研究をより深め,その結果と上記(1)の結果と比較し,ライセンスにおいて,社会的厚生を高める上で,どちらのライセンス方式が好ましいのかを詳しく検討する。 (3)アンチコモンズの悲劇を回避する制度の研究:多数の特許が関わるところに生ずるアンチコモンズの悲劇を回避するためのパテントプール等の制度についてその有効性を検討する。
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