研究概要 |
本年度の成果を,対象としている四つの活用経路ごとに,以下にまとめる: (A)「製造現場に関する暗黙知」の「システム運用上の意思決定」への反映 本経路では,生産システム運用上の典型的な意思決定問題の一例として「最短経路問題」を取り上げた.そして,複数の従業員の暗黙知を反映させながらこの問題を解決するためのシステムを考案し,そのプロトタイプを作成した.さらに,被験者実験によって,このプロトタイプシステムの基本的な機能を検証した. (B)「製造現場に関する暗黙知」の「システム変革上の意思決定」への反映 本経路では,昨年度に引き続き,改善・革新に関する知識創造がどのようになされるかについての理解の深化を目的とした.今年度は,製品サービスシステムに対する革新案創出を題材とした観察実験を行い,その過程をデータ化し,プロトコル分析を適用することによって,知識創造プロセスのモデル化を進めた. (C)「市場環境に関する暗黙知」の「システム運用上の意思決定」への反映 本経路では,予測市場技術をベースとした需要予測システムの研究をさらに進めた.これは,第一線の従業員等の持つ需要に関する暗黙知を集約し,予測に反映させるものである.今年度は,複数期間の需要量を同時に予測したい場合に適用できるようにシステムを拡張し,その機能をシミュレーションによって確認した. (D)「市場環境に関する暗黙知」の「システム変革上の意思決定」への反映 本経路では,営業員の「たら・れば情報」を知覚マップに集約し,製品や戦略の企画・選択を支援することのできるシステムの開発を目指している.本年度は,昨年度開発した「知覚マップ上の布置に関する合意形成支援システム」の検証実験を継続するとともに,その結果を受けて,システムの改善に向けての検討を進めた.
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