本研究は、地震をはじめとする大規模災害時において、被災地状況とその周辺の広域道路状況などを一括把握でき、円滑・迅速な救助活動に供することを目的とするものである。そのため、画像情報や地図情報を統合活用し、被災地周辺の個別特徴情報をそれぞれ抽出し、さらにそれらを連携して解析をすることで、大規模災害時での救助活動に必要な被災地周辺情報を自動生成できる画像解析手法を検討し、試作システムを構築した。本年度の研究成果は以下である。 1. 画像補完方法検討:異なる種類の複数画像やデジタル地図情報を統合し、相互に利用することで、単体画像だけでは抽出が困難となる情報を容易に抽出するための補完手法を検討した。 2. 総合実験:上空画像とデジタル地図情報や数値標高データを用い、試作システムの実験と評価を行った。被災箇所や道路閉塞箇所などの各種情報の抽出率は70%程度であるが、画像入力から出力までの自動処理がほぼ実現可能であり、また災害の概要を把握する目的には使える可能性は見出せた。 3. 応用システムの検討:ここまでの検討と試作を踏まえ、統合情報の解析手法が実際の救助活動に役立てられる応用システムを検討した。また、研究協力者からの交通管理や救助・防災についての意見も踏まえ、各種の災害救助活動や防災活動に効率良く利用できるような情報入力方法や生成方法を検討した。さらに、ここで得た研究成果を国内外の学会で発表し、学術的な評価を受けた。
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