1.過剰反応の発生と再現性の確認 (1)過剰反応の発生状況の定量分析 ・主任研究者が過去に提案した、リスクの社会的影響を定量的に示す「社会影響指数」を用い、タミフル、福島県大野病院事件、奈良県大淀病院事件について重要な話題があった複数の時点における、リスクの影響の大きさの定量的把握と比較を行った。 社会影響指数 (1)=【記事の平均文字数/日÷新聞当り全文字数[単位:%]】 (2)=【(掲載記事の文字数(a)+掲載記事数x係数(b))/1000[単位:Imp]】 ・社会的影響は2007年3月20日タミフル(厚生労働省が、原則として10代の患者にはタミフルの使用を差し控えるよう警告)が、(1)0.61Imp、(2)241.5Impと最も大きいことが分かった。 (2)報道機関における過剩反応の特性把握 ・検証のための基礎データとして、1993年から2007年までの医師不足と医療事故に関する新聞記事数を収集した。 ・医療事故に関する記事は、2002年の1913件をピークに減少傾向であること、医師不足に関する記事は2005年以後急激に増加(2005年の691件から2007年は3103件)していること、2006年で医療事故に関する記事数(1384件)と医師不足に関する記事数(1487件)の逆転が起こり、以後医師不足に関する記事が医療事故に関する記事より多くなっていることが分かった。 (3)一般消費者における過剰反応の再現性の検証手法の確立 ・医師を対象にタミフルの使用に関するアンケートを実施し、検証の基礎的データを収集した。 ・多くの医師がタミフルの効果に肯定的、タミフルと小児の異常行動との因果関係に対して否定的であるにもかかわらず、小児(アンケートでは12歳を想定)の患者にはタミフルを処方しない医師が多いことが分かった。 ・次年度は今年度収集したデータをAHPで分析し、消費者における過剰反応の再現性の検証手法を検討する。
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