研究概要 |
1. 過剰反応の発生と再現性の確認 (1) 過剰反応の発生状況の定量分析 ・ 出産関連リスク、中国製やせ薬による死亡事故に関する新聞報道情報を収集し、主任研究者が過去に考案した「社会反応指数」を用いてリスクに対する社会的反応の定量的把握と昨年の結果と併せての比較を行った。 社会反応指数 (1)=【記事の平均文字数1日÷新聞当り全文字数[単位:%]】 (2)=【掲載計数の文字数(a)+掲載記事数×係数(b))/1000[単位:%] ・ 社会的反応は2007年3月20日タミフル(厚生労働省が、原則として10代の患者にはタミフルの使用を差し控えるよう警告)が、最大であることが分かった。 (2) 報道機関における過剰反応の特性把握 ・ 医療関連のリスクにおいては類似事件の報道が長期間継続することがあり、後の報道の方が大きい傾向があることが分かった。 (3) 一般消費者における過剰反応の再現性の検証手法の確立 ・ 一般国民を対象として、出産リスクに関する客観的情報を提供するグループと提供しないグループの2グループに分け、出産時リスクの判断に関するアンケートを実施した。 ・ 大野病院事件について、63.1%の人が主治医の逮捕は妥当と回答したが、64,4%の人が起訴は妥当でない、67.1%の人が無罪判決は妥当と回答した。医療現場での死亡事故への第三者の介入は肯定されているが、医師への刑事罰は妥当でないと判断されていると言える。 ・ 50~69歳の男性を対象に、前立腺がん検診に関するメリット情報を提供するグループ(A)とメリット情報に加えてデメリット情報を提供するグループ(B)に分け、二項選択方式によるWTP調査を実施した。 ・ グループAのWTPは$31.1、グループBの$25.1となった。(p<0.01) ・ リスク情報を提供した場合でも、WTPの低下は$6で一般国民は前立腺がん検診の効果を評価しているといえる。
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