研究課題
地質構造の枠組みをなす地体構造は、広域応力場やひずみ集中帯との関係で地体ごとに異なる挙動が予想される。このような視点から本研究では、アムールプレート日本縁辺を北部(北海道沖)、東部(奥羽沖)、中部(新潟-北陸沖)、西部(敦賀湾)、南部(山陰沖)などに分け、沿岸陸域を含む地形・地質構造の類型ごとに、代表的な震源断層モデルの原型を設定している。研究実施計画の中心をなす、類型海域毎の震源断層モデルの提唱準備の進捗は、概ね順調である。以下に当該年度の成果について具体的内容と重要性を記す。本州の第四紀地体構造は、日本海形成期の古傷由来の断層に規制され、それぞれの活断層区特有の地形・地質構造の形成がなされてきた。断層の一部は現世にも活動が継続して地震を起こし、活断層区の地形と地盤条件を背景に、人々の営みやその変化に関わってさまざまな地震災害をもたらしてきた。東北日本と西南日本の境界域であり、糸魚川一静岡構造線や富山トラフを境に東西で地形・地質の相違が明瞭に認められる本州中部では、領域をひずみ集中帯が貫通している状況から、日本海形成期の古傷由来の下部地殻を含む基盤構造が現在のテクトニクスを制御しているとの作業仮説を提唱するに至った(竹内ほか、2010)。北部フォッサマグナ地域でもとくに大小の地体構造が複雑に影響しあっている長野県栄村付近は、2011年東北地方太平洋沖地震によるテクトニック応力場の急転を受けて、M6.4の連動地震も発生し、普通はあり得ない方向の活断層が活動した典型事例に挙げることができる。
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地盤工学会誌
巻: 59 ページ: 8-11
地質学雑誌
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