研究分担者 |
為栗 健 京都大学, 防災研究所, 助教 (70335222)
八木原 寛 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60295235)
嶋野 岳人 富士常葉大学, 環境防災研究科, 准教授 (70396894)
綿田 辰吾 東京大学, 地震研究所, 助教 (30301112)
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助教 (40262084)
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研究概要 |
平成21年度は爆発回数が増加して桜島の昭和火口の爆発について,これまでに爆発指標となりうるパラメータのうち相関関係がみられる地盤変動量と火山灰量について詳細に検討した.地盤変動にっいては南岳直下深さ4kmと昭和火口下1kmの2力源モデルを用いて収縮体積量を求めた.火山灰放出量(トン)は収縮体積量(立方メートル)に対して比例係数を5とする相関関係にあることが分かった.これは,平成21年の月別の火山灰放出量と収縮体積の積算量についても同様の関係があることが示された.一方,この比例関係よりも火山灰放出量が多いことがある.これは,爆発発生後も火山灰放出が長時間にわたって連続的に放出される場合である.この時,地盤変動はほぼ停止している.このことは,火山灰が放出されると同時に地下からマグマが供給されていることを示唆する.この火山灰連続放出に伴い火山性微動が観測される.したがって,地盤変動から求められる収縮体積量に地震動エネルギーから得られるパラメータの線形結合を新たなパラメータとすれば,噴火規模を予測できることが示唆された.空気振動については,火山灰放出量や地盤変動量と全く相関関係がない.空気振動は爆発発生時にのみ顕著であり,空気振動が火道最上部のガス溜りの破裂によって発生するとすれば,最上部のみの爆発強度を評価していることになる.諏訪之瀬島とスメル火山においても観測を継続した.諏訪之瀬島においては傾斜計を増設し,観測を継続中である.スメル火山では平成21年3月の爆発を最後に爆発が発生していないが,8月ごろから新たなマグママグマの上昇を示す火山性微動が観測されるようになり,今後爆発的噴火活動が活発化するものと思われる.
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