研究分担者 |
為栗 健 京都大学, 防災研究所, 助教 (70335222)
八木原 寛 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60295235)
嶋野 岳人 富士常葉大学, 環境防災研究科, 准教授 (70396894)
綿田 辰吾 東京大学, 地震研究所, 助教 (30301112)
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助教 (40262084)
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研究概要 |
22年度は桜島,諏訪之瀬島,スメル火山において観測を継続し,個々の爆発から得られる4つのパラメータ(爆発地震のモーメント,空気振動振幅,地盤変動量,火山灰放出量)の相互相関とリアルタイム爆発指標となりうるパラメータについて検討した.桜島の昭和火口において発生した爆発について検討した結果,爆発地震のモーメントと空気振動振幅の間には正の相関がみられた.また,爆発発生直後に現れる地盤変動のひずみステップは爆発地震のモーメントと空気振動振幅と弱いながら相関がみられる.一方,爆発的噴火終息まで続く緩やかな地盤変動の量や火山灰放出量は強い相関関係をもつが,爆発地震のモーメントと空気振動振幅,ひずみステップとは相関がない.このことは爆発的噴火の総噴出物量に関係するパラメータ群と,爆発的噴火開始時の瞬間的な強度に依存するパラメータ群は独立であることを意味する.火山爆発規模を評価する上で,爆発的噴火開始時の瞬間的な強度は開始直後に得られるが,総噴出物量に関する量は噴火終了まで得ることはできない.そこで,非圧縮流体がマグマ溜まりから放出されるモデルに基づき,爆発開始初期の歪変化データを用い,最終ひずみを推定した.使用する初期データが長いほど予測精度は高まるが,1時間で終了する爆発の場合,5分のデータを用いれば,15%以内の誤差で予測が可能である.本研究ではリアルタイム爆発指標として地盤変動の初期変動率を提案し,変動パターンに基づいて最終変動量を予測するのが,最も妥当という結論に達した.これまで火山爆発指標として総噴出物量にもとづく火山爆発強度指標(VEI)が用いられてきたが噴火が終了するまで把握できず,災害防止のためには遅速すぎるパラメータであったが,地盤変動の初期変動率から最終変動量を予測することで,爆発強度を迅速に見積もることができるようになった.
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