研究課題/領域番号 |
20310107
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村上 亮 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50370804)
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研究分担者 |
川村 淳 日本原子力研究開発機構, 地層処分研究開発部門, 研究職員 (10469827)
西村 卓也 国土地理院, 地殻変動研究室, 主任研究官 (90370808)
牧野 仁史 日本原子力研究開発機構, 地層処分基盤研究ユニット, 研究職員 (60421632)
及川 輝樹 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (10435761)
下司 信夫 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (70356955)
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キーワード | 火山噴火 / 噴火シナリオ / 火山噴火予知 / 防災 / 自然災害予測 / 安全・安心 |
研究概要 |
火山防災の高度化には活動の全期間を通じた予測の精度を高めることが不可欠であり、そのために、噴火シナリオの果たす役割が注目されている。前兆現象や想定される活動推移を可能な限り網羅した火山噴火シナリオが整備されていれば、実際に噴火が始まった際に、最適な防災手段の即時選択が可能となる。さらにその効果を高めるため、活動が始まった後も、その都度得られる観測情報などから火山活動の最新の状況を評価し、必要に応じたシナリオの修正・補足を行いながら、その時点の最適な防災対策を選択すれば、より一層有効な火山防災を実現することができる。 従来から、シナリオの作成については、対象火山の活動の過去の活動経過の詳細な理解に基づき、経験論的に構築する手法が基本的なアプローチと考えられている。本研究では、経験的手法に基づいたシナリオを補完するために、すでに他分野で開発され演繹的推論に実績のあるFEP解析手法を火山学に応用して、発生可能性が論理的に予想される様々な事象まで含めてシナリオに盛り込む手法の開発を実施している。 昨年度までに、火山にかかわる各種現象をマグマなど地下の熱源に励起される物理的・化学的現象と統一的に捉え、時間の経緯とともにそれらが因果律に従って、火山活動を推移させていくという枠組みで火山現象全体を捉えることにより、火山活動の演繹的な予測手法を組み立てる基本方針を立てた。 21年度では、具体的に火山現象を支配する要因として、場と作用を取り上げ、可能なそれらの組み合わせから結果を導く有限個の関数群をコンピューター上に用意し、常時検索させるようにFEP解析を設計しておけば、火山現象の推移に従って、直ちに場と作用の組み合わせの可能性を評価し、発生しそうな順に順位付けして可能性を提示することにより、人間が噴火予測を実施する場合の有効なシナリオ作成支援システムに発展させられるとの見通しを思考実験により得た。 21年度は、以上のような構造の支援システムが、過去に実際に発生した火山活動経過推移について、要素の見落としなく、火山現象を追跡できるかどうかを、2000年三宅島噴火について詳細に検証し、シナリオ作成支援システムの概念設計が十分実用的であることを確認した。
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