研究分担者 |
清野 純史 京都大学, 工学研究科, 教授 (00161597)
能島 暢呂 岐阜大学, 工学部, 教授 (20222200)
鶴来 雅人 (財)地域地盤環境研究所, 地震防災グループ, グループリーダー (60450912)
吉田 雅穂 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (90210723)
池本 良子 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40159223)
|
研究概要 |
本研究では、長周期・長継続時間地震動によって上水貯水槽の水がスロッシング現象を起こし,強制引水を開始する条件をまず明らかにし、つぎに、同時に多くの貯水槽が強制引水を行ったときに上水道システムに及ぼす影響を検討し、さらに、救命ライフラインといわれる消火,医療給水に及ぼす影響を検討することを目的としている。 まず,水供給システムにおいて多地点で流量や水圧の経時変化を観測している、比較的大規模な水道事業体に対して、2007年能登半島地震,新潟県中越沖地震,2008年岩手・宮城内陸地震の発生時の配水システムの異常挙動に関するアンケート調査を実施した。異常の有無とともに、異常が顕著であった地域の住環境特性や配水地域にある貯水槽の大きさと数などに注目して調査票を作成した。それらを集計し,異常挙動の発生する条件について検討した。さらに,配水区域で比較的多くの地震動記録が得られている仙台市水道局の岩手・宮城内陸地震の例をケーススタディとして詳細な分析を行った。すなわち,配水ブロックごとの貯水槽の容量とそれぞれの数量を調査するとともに,近接する強震観測点の地震記録における卓越周期,継続時間と異常挙動の発生の程度などについて分析した。その結果,貯水槽の容量が大きいと異常挙動の程度が大きいとは限らず,地震動の卓越周期と貯水槽のスロッシング卓越周期の関係も関与していることが示唆された。 さらに,速度応答スペクトル用いて貯水槽の卓越周期との関係から液体のスロッシング高さを求める、ハウスナー博士が提案した簡易式により、貯水槽で発生しうるスロッシングの高さについても検討した。
|