研究課題/領域番号 |
20310116
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
林 哲也 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (10173014)
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研究分担者 |
小椋 義俊 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)
大岡 唯祐 宮崎大学, 医学部, 助教 (50363594)
黒川 顕 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (20343246)
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キーワード | ゲノム / 微生物 / 細菌 / 進化 / 感染症 |
研究概要 |
細菌ゲノムの大きな特徴の一つは、大量の外来性遺伝子の存在である。そのため、同一菌種内でも高レベルの菌株間ゲノム多様性が存在し、様々な菌株が保有するゲノム情報の総和をその菌種のpan-genomeと呼ぶ。本研究では、新型シーケンサを利用して多数の大腸菌株のゲノム解析を行い、そのpan-genomeの実体を明らかにすることを目指した。具体的には、我々の施設にRoche 454が導入され、同時に454の機器・プロトコールがバージョンアップされて、約450 bpの配列が取得可能になったことから、454による解析にフォスミドやPCRを利用したギャップ領域の配列決定等を組み合わせて解析を進めた。平成22年度は、EHEC 2株(O121とO165)のフィニッシング(いずれも完成間近)、新系統のEHEC O26の概要配列の取得(プラスミドはフィニッシング済み)、赤痢菌1株とEIEC4系統(1株ずつ)の概要配列の取得(EIEC2株はフィニッシング中)を行った。また。国内外のLEE陽性大腸菌を200株以上収集し、MLST解析による系統解析とLEEのタイピングを行った結果、この中には大腸菌の近縁種であるE.arbertiiが多数の含まれていること、またStxf産生株も存在することが明らかとなり、4株を選択して概要配列を取得した(2株についてはfinishing中)。一方、EHEC O157菌株の比較ゲノム解析の結果などから、O157のゲノム上から、特定の挿入配列(IS)を脱落させ、その周辺のゲノム領域の脱落も惹起する新規蛋白質(IEE)を発見し、Nat.commun.誌に発表した。IEEは他のEHECにも存在し、他の菌種にもホモログが広く分布することから、細菌におけるゲノム多様化の重要な因子であることが示唆される。
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