アロディニア誘発にかかわる新規受容体をin vivoで探索するための分子プローブとしてPETプローブの創製を行った。毒キノコ由来の天然アミノ酸であるアクロメリン酸はマウス髄腔内投与によりアロディニア誘発作用を示すが、この作用を競合的に阻害する化合物PSPA-4に陽電子放射核^<11>Cを導入したPETトレーサーを合成することに成功した。このPETプローブを健常ラットに投与し、in vivoでの動態をイメージング解析したところ、体外への排出が速いこと、脳や脊髄への移行が極めて少ないことなどが明らかとなった。また、代謝体と思われる別の物質への転換も確認された。続いて、ラットの脳・脊髄組織の切片を作製し、[^<11>C]PSPA-4を用いたin vitroでのイメージングを行った。その結果、アロディニアの発症にかかわると考えられる脊髄部位においては特異的な集積がほとんど認められないことがわかった。一方、脳の一部に非常に弱いものの特異的と思われる集積が認められた。現在、詳細な解析を進めている。次に、アクロメリン酸に匹敵する強力なアロディニア誘発作用を示すアゴニスト化合物POPA-23のPETプローブ化について検討した。POPA-23のベンゼン環部位に^<11>CH_3を持つPETプローブ分子を設計し、パラジウム触媒を用いた高速メチル化法による放射核導入法を適用することとした。また、PSPA-4の場合と同様に、官能基の保護体でメチル化を行い、ワンポットで脱保護までを行う経路を設計した。まずその前駆体となるホウ素化合物を合成し、コールド条件での反応を検討した。その結果、放射核導入のためのメチル化に5分、脱保護に1分という条件で目的化合物を得ることに成功した。さらに、予備的ではあるが、実際のPET合成装置によりトレーサー合成を検討し、良好な放射化学収率で[^<11>C]POPA-23を合成することに成功した。
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