研究概要 |
アロエ由来ペンタケタイドクロモン合成酵素(PCS)及びオクタケタイド合成酵素(OKS)について、結晶構造により見出した新たな活性部位ポケット近傍のアミノ酸残基に変異を導入することにより、活性部位キャビティの大きさや活性アミノ酸残基の配置を変化させて、酵素反応開始基質やマロニルCoA縮合数、さらに閉環反応様式に与える影響を精査した。その結果、OKSの酵素結晶構造に基づく活性部位キャビティ構成残基N222,F66,T204などへの部位特異的変異の導入により、これまでで最長となるマロニルCoA1 2分子縮合を触媒する機能改変酵素の作成に成功した。一方で、非天然型人工基質を作用させることにより、潜在的な酵素触媒ポテンシャルを引き出し、非天然型新規化合物の創出に挑戦した。本来8分子のマロニルCoAの縮合反応を触媒するOKSに、クマロイルCoAとマロニルCoAを同時に基質として作用させることにより、それぞれクマロイルCoAに5分子あるいは6分子のマロニルCoAが縮合した非天然型新規C_<21>カルコン及びC_<19>スチルベン骨格の生成に成功した。非天然型C_<21>カルコンの生成量は、結晶構造に基づき活性中心キャビティを拡大したN222G点変異酵素において飛躍的に増大した。さらに、ヘテロ芳香環など一連の含窒素人工基質を合成し,機能の異なるIII型PKSに作用させることにより、これまでに数種の非天然型新規アルカロイド骨格の創出に成功した。
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