研究課題/領域番号 |
20310142
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
石川 芳治 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70285245)
|
研究分担者 |
梶 光一 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70436674)
小金澤 正昭 宇都宮大学, 農学部, 教授 (90241851)
土屋 俊幸 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (50271846)
福島 司 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (30111420)
戸田 浩人 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (00237091)
|
キーワード | 生息密度マップ / ササ / 胃内容物 / 林床植生被覆率 / リター被覆率 / 土壌侵食量 / 昆虫 / 森林生態系 |
研究概要 |
栃本県におけるニホンジカの適切な生息密度指標を検討するための基礎資料を得る目的で、既往の調査データを整理して1995年以降毎年の日光国立公園地区の詳細な生息密度マップの作成を行った。1997年以降、冬期に日光地区およびその周辺で捕獲されたシカの胃内容物の分析を行いササの出現割合とシカの生息密度との関係を調査した結果、生息密度は徐々に低下している一方で胃内容物のササの出現割合は増加していることが分かり、ササの回復を示している可能性が示された。日光地区でかつて広く分布していたササがシカの食害で衰退している。現地調査からササの種類により衰退の速度が異なることが分かった。ササの衰退の程度が著しい千手ヶ浜地区、中程度の大平地区、衰退していない荒沢地区において、表層土壌の理化学性を調査した。その結果、荒沢地区では他の地区に比べて土壌内の腐植成分が多いことが分かった。さらに、2009年5月末から千手ヶ浜地区、大平地区、荒沢地区において土壌侵食調査プロット(幅1m、長さ3m)を設定し、土壌侵食量および降雨量を観測した。その結果、土壌侵食量は林床植生の衰退が著しい千手ヶ浜地区では大平地区の約10倍、荒沢地区の約100倍であることが分かった。林床植生被覆率+リター被覆率と土壌侵食量(雨量1mm当たり)の関係を分析した結果、林床植生被覆率+リター被覆率と土壌侵食量は反比例の関係があることが明らかとなった。千手ヶ浜地区、大平地区、荒沢地区において昆虫(アリ、糞虫)を採集して個体数および種を調査した結果、これらの昆虫によりシカによる森林生態系の変化を評価できる可能性が示唆された。
|