研究課題/領域番号 |
20310142
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
石川 芳治 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70285245)
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研究分担者 |
梶 光一 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70436674)
小金澤 正昭 宇都宮大学, 農学部, 教授 (90241851)
土屋 俊幸 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50271846)
福嶋 司 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30111420)
戸田 浩人 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00237091)
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キーワード | シカ / 生息密度 / 生態系 / ササ / 土壌侵食量 / 林床合計被覆率 / 胃内容物 / 密度管理 |
研究概要 |
栃木県奥日光地区において2010年4月~12月の間、毎週ライトセンサスを行い、シカの平均群れサイズと個体数を観察した結果、個体数は春に多く、夏に少なくなり、秋に再び増加することが分かった。1996年~2009年に日光中禅寺湖北岸地区で冬期に捕獲されたシカの胃内容物の調査から、ササの占める割合が最近増加していることが分かり、ササが回復していることが推測された。日光千手ヶ浜地区には約30年前はクマイザサが繁茂していたが、シカの食害により消失した後において防鹿柵を設置してもクマイザサは回復せずに不嗜好性植物のシロヨメナが繁茂することが分かり、植物群落の種組成や構造は元には戻らないという、「不可逆性」があることが分かった。日光地区内の3箇所(千手ヶ浜、大平、荒沢)において2009年~2010年に毎月土壌侵食量を調査した結果、雨量1mm当たりの土壌侵食量と林床合計被覆率(林床植生被覆率+リター被覆率)には高い負の相関があることが分かった。奥日光地区(中禅寺湖西岸)の計649地点において、2010年8月~10月上旬に、林床合計被覆率やササの被覆率等を調査した。この結果を整理して、林床合計被覆率分布図を作成するとともに、土壌侵食危険性分布図を作成した。これまでの研究成果を統合して、林床植生(種、被覆率、開花率、ササのかん高、密度)、生物・化学(土壌小動物、土壌呼吸量、土壌有機物量)、物理・侵食(林床合計被覆率、土壌侵食量)、林業被害(皮剥)等の指標について、生態系への影響度を評価するためのレベル(許容限界)を設定した。また、これらの指標のレベル(許容限界)とシカの生息密度との関係を時間的変化も考慮してまとめた。この生態系許容限界密度指標を用いることにより、当該地域におけるシカの密度管理を適正に行うことができる。
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