研究課題/領域番号 |
20310145
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古田 元夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114632)
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研究分担者 |
山影 進 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10115959)
佐藤 安信 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90313981)
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キーワード | ASEAN / CLMV(ASEAN新規加盟国) / ベトナム / 地域統合 / 大メコン圏 / 東西回廊 / 発展の三角地帯 / 日本の役割 |
研究概要 |
この地域で急速な展開を見せる地域統合は、単に経済分野のみに限定された現象ではなく、政治・社会・安全保障など様々な分野をも含みうる大きな流れである。本研究はその動態にせまるため、各分野の専門家共同での現地における調査を重視している。本年度は、当初の計画通り以下を実施した。(1)これまでの研究を総括する国際ワークショップの開催(2010年8月、於東京)。(2)これまで未調査であった南部回廊の部分的実走調査を含めた、プノンペンとシエムリアップ周辺における調査(2011年1月)。(3)東京、ダナン(ベトナム)、ビエンチャン(ラオス)、コンケン(タイ)、バンメトート(ベトナム)でこれまでに開催したワークショップの報告集の作成(2011年3月)。 8月7日(土)の東京でのワークショップは、ベトナム東南アジア研究所(Institute for Southeast Asian Studies)の協力を得て、「経済危機後のメコン圏と日本-発展の三角地帯を中心に-」と題して行われた。本ワークショップでは、グエン・スィ・トォアン「拡大メコン圏の発展とベトナムの役割」、末廣昭「アジア化するアジア、中国化するアジア」、グエン・ズイ・ズン「ベトナム・ラオス・カンボジアの発展の三角地帯の開発の展望」、久我由美「中国-ASEAN経済関係の深化-広西チワン族自治区の事例を中心に-」の計4本の報告が行われた。また、レ・ボ・リンの総括レポート「日本・CLMV関係」について白石昌也と古田元夫よりコメントが出され、最後に全体のまとめとなる総括討論を行った。 1月4日より11日まで行われたカンボジア調査では、王立法律経済大学等、裁判官・検察官養成所等を訪ね、各機関の協力を得て、現在のカンボジアが抱える問題とその要因についてカンボジア近代史の経緯を踏まえて理解を深め、また地域統合の文脈から社会へのその影響について検討した。また同じ地域統合の観点から、プノンペン、シエムリアップの周辺において、同地と中国・ベトナム・タイなどの周辺国との関係性を探る景観調査を行った。 CLV諸国では、21世紀に入って急速な経済発展が持続する一方で、中国の急速な進出とプレゼンスの顕在化、それに対応する形での日本や米国の新しい関与などが進み、大きく状況が変化している。本年度は、上記の活動を通じ、ベトナムをはじめとする現地の研究者や行政担当者が、そのような状況をどのように認識しているのかを把握する上で大きな成果があった。
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