研究課題/領域番号 |
20310149
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 教授 (50166584)
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研究分担者 |
川名 隆史 東京国際大学, 経済学部, 教授 (60169737)
内田 日出海 成蹊大学, 経済学部, 教授 (90223560)
泉 淳 東京国際大学, 経済学部, 准教授 (70337476)
杉浦 未樹 東京国際大学, 経済学部, 准教授 (30438783)
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キーワード | 地域研究 / 経済史 / 思想史 / 文化人類学 / 政治学 |
研究概要 |
本研究は、近代国家の周縁を単に辺境と位置づけるのではなく、境界を越えた他者と中心を結ぶインターフェイスとして捉え、周縁の持つポジティヴな側面を歴史の中に捉え直すことを目的としている。21年度の研究は、各研究者および外部講師による定例研究会を軸に進められた。10月にはケンブリッジ大学のマクファーレン教授を迎え、目欧亜の近代化について比較考察する機会を得た。 昨年度、各研究者は国外・国内の調査出張などを通じ、以下のような成果を得た。田村は諸宗教の固有性の立脚点にある混成と相互作用に焦点を当て、チュニジア・フランスで祭礼儀礼および信仰シンボルの調査を行い論文にまとめた(発行は22年度)。川名はポーランドの調査を通じ、分割前ポーランドのタタール人の意義を論文として発表した。内田は、フランスとドイツ・スイス国境地域における周縁性に由来する制度や心性を明らかにしてきたが、この度その成果を『物語:ストラスブール』として出版した。泉はアメリカ合衆国におけるムスリム移民の政治参加の動態を分析したが、その対象を中東以外のムスリム移民にも広げた。杉浦と小林は、江戸期の古着市場の流通構造の分析を通じて、周縁に位置づけられる街売りが流通拡大の核を担っていた可能性を提示し、それをユトレヒトの国際経済史学会で発表した。斉藤は北関東の砥石販売ネットワーク構造に注目し、同時にその観察の範囲を「部落解放令」後の社会変化に広げた。尾崎は、19世紀末の北サヴォワからジュネーヴに対する家畜供給に関する資料の分析を終えたが、その過程でスイスとフランス政府の牧畜業に対する政策比較等、新たな検討課題を見出した。以上の研究活動に加え、出雲地方において共同調査と合宿を行なった。辺境の地である出雲が近世日本の銀、鉄の殆どを供給していた事実に注目し、周縁のインターフェイスのあり方についてさらに共通理解を深めた。
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