研究課題/領域番号 |
20310149
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
田村 愛理 東京国際大学, 商学部, 教授 (50166584)
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研究分担者 |
川名 隆史 東京国際大学, 経済学部, 教授 (60169737)
内田 日出海 成蹊大学, 経済学部, 教授 (90223560)
泉 淳 東京国際大学, 経済学部, 准教授 (70337476)
杉浦 未樹 東京国際大学, 経済学部, 准教授 (30438783)
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キーワード | 地域研究 / 経済史 / 思想史 / 文化人類学 / 政治学 |
研究概要 |
本研究は、近代国家の周縁に位置する地域や人が有するインターフェイス的な側面に着目し、周縁が持つポジティヴな面を近代史の中に捉え直そうとするものである。平成22年度は、昨年度に続き各研究者および講師を招いた定例研究会を軸に進められ、以下のような成果を得た。 田村は、中東のユダヤ教徒共同体の儀礼とシンボルを、流動的地域的側面から捉え直し、イスラームとの文化混成に与えた役割を研究し論文として発表した。分割前のポーランド国家における諸民族、諸宗派の内部構造を研究している川名は、リトアニア大公国におけるイスラーム教徒タタール人の研究を進め、特にその軍事上の意義について考察した。内田は、フランスのライン河沿いにおいて常態化していた、18-19世紀の国境地帯の密貿易に焦点をあて資料収集し、これが各国国民経済形成期に有した役割を論文にまとめた。現代米国におけるムスリム移民の政治参加とかれらの出身地域への米国の対外政策の関連を研究する泉は、アラブ移民からパキスタン移民に調査範囲を拡大した。杉浦は、アムステルダム史料館でオークション史料の調査を開始し、都市史会議の都市内流通のセッションに出席し、意見交換を行なった。小林は、韓国の南大門市場における中古品流通の調査を行なった。尾崎は、スイス辺境における産業が国境を越えてフランスのサヴォア地方に浸潤するフリーゾーン的様態について論文をまとめ、日本の近世部落経済の経済的ネットワーク構造を研究する斉藤は、この構造における差別と特権の二重構造に注目し研究した。 また、これらの研究成果を世に問う為に、12月に、早稲田大学現代政治経済研究所と共催で「近代国家の周縁の多義性:特権とネットワークを軸として」と題するシンポジウムを開催し、活発な議論を交換しだ。さらに3月には、周縁がインターフェイス的役割を担った事例として、全員で大阪旧渡辺村の調査を行ない、共通認識を深めた。
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