研究課題/領域番号 |
20310152
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
金子 哲 兵庫大学, 経済情報学部, 准教授 (80330497)
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研究分担者 |
牧田 満知子 兵庫大学, 生涯福祉学部, 教授 (80331784)
岡本 洋之 兵庫大学, 経済情報学部, 准教授 (50351846)
湯瀬 晶文 兵庫大学, 健康科学部, 講師 (70301661)
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キーワード | 死生観 / 共同体 / グローバリズム / 宗教 / 土俗 / シャーマニズム / 日本・中国・韓国・タイ・カンボジア |
研究概要 |
金子はアジア的シャーマニズム世界からの視座で死生観を検討した。中世後期共同体設立に死穢に携わる陰陽師がいかに関与したかを、三光信仰・三宝荒神信仰を切り口に考察した。さらに、中世後期の惣空間は、葬儀共同体の成立が媒介となり成立し、創出した死穢空間を排除することで維持されたことを証明した。惣共同体は現代日本社会の基本構造を規定しており、日本社会における死生観の基礎がここで成立したことを示した。 湯瀬は、若年層を主たる調査対象として尊厳死に関するアンケート調査を行なった。尊厳死を通して死生観の核部分に対する意識を分析し、学生層は選考領域により有意な偏差が生じ、自己と他者に対する死の捉えかたに顕著な乖離が存在することを証明した。さらに、死に対する呪術的感覚に関するアンケート調査項目をクロスさせ、乖離のメカニズムを考察した。 岡本は、シャーマニズム的土俗世界とキリスト教が結合した長崎地方における死生観を研究した。セーラー服を変容させて受容したこの地区独特の慣行を、土俗化した外来文化への潜在的恐怖感から分析した。さらに軍国主義期における当該地区の死生教育の分析を通して、土俗化した外来文化の「日本教化」「共通教化」こそ、当該地区での軍国主義教育の柱の一つであったことを示した。 牧田はイスラム圏において、グローバリズムと伝統的宗教的規範・土俗的規範とのコンフリクトがもたらす「死の認識」の変容を調査した。社会福祉の視座から、この成果を「安楽死と尊厳死」問題に生かした。湯瀬講師とともにアンケート調査・分析を進め、現代日本の若年層におけるグローバリズムと伝統世界・土俗世界のコンフリクトと死生観の変容を考察した。
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