研究課題/領域番号 |
20310153
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (80400472)
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研究分担者 |
小名木 昭宏 国立大学法人北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60274685)
上瀬 由美子 江戸川大学, 社会学部, 教授 (20256473)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間関係学部, 教授 (30251557)
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キーワード | 女性 / 子ども / 被害者 / 北欧 / 性犯罪 / ドメスティック・バイオレンス / 可視化 / 少年 |
研究概要 |
当研究は、犯罪の被害にあった女性・児童への対策につき、(1)立法問題、(2)様々な機関による対応と連携の2点を比較法の観点から考察し、(3)調査(数量調査、インタビュー調査)を通して検証するという手法をとる。 今年度は(1)、(2)につき、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、韓国を調査した。このうちことにスウェーデンはドメスティック・バイオレンス(親しい間柄における男性から女性への暴力:以下DV)について、恐らく世界で唯一、刑法にDV罪の規定をもっている(1998年施行)。日本においては2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を施行しているが、ここではDV行為そのものに対する刑罰は規定されていない。DV事案においては加害者を逮捕、処罰することにより被害者の安全性が確保されると言える。そこで法務省法案作成担当者等にインタビューを行い、法律制定の経緯、意義等を明らかにした。さらに、DV加害者の処遇と被害者の関わりを明らかにするため、スウェーデンのDV加害者処遇プログラム(刑務所及び保護観察)の責任者及び担当者を日本に招聘し、プログラムの内容、とりわけ被害者のためのプログラムについて知見を得た。この際に日本の保護観察官とも連携し相互の意見交換を行った。 韓国の刑法は日本をモデルにしたものでありながら、現在では女性・子どもの被害に関して多くの特別法をもち、警察によるワンストップセンターを多数もつにいたっている。警察での取り扱い、ワンストップセンター等を直接訪問し、実際の運用を確認した。 (3)については、女子少年院のインタビュー調査を実施した。日本の矯正施設では現在「被害者視点教育」が実施されている。しかし少年院に収容されている女性に関しては、自身の被害性が非常に高いことが以前から言われている。そのため、自身の被害性をも考慮した上での被害者に関する教育について、その実態を明らかにすりために、実際の担当者及び院長にインタビューを実施している。 児童への性的虐待に関するケースワーク研究も実施した。
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