研究課題/領域番号 |
20310153
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (80400472)
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研究分担者 |
小名木 明宏 国立大学法人北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60274685)
上瀬 由美子 立正大学, 心理学部, 教授 (20256473)
小西 聖子 武蔵野大学, 人間関係学部, 教授 (30251557)
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キーワード | 女性 / 子ども / スウェーデン / 北欧 / 性犯罪 / ドメスティック・バイオレンス / 可視化 / 少年 |
研究概要 |
当研究は、犯罪の被害にあった女性・児童への対策につき、(1)立法問題、(2)様々な機関による対応と各機関間の連携の2点を比較法の観点から考察し、(3)日本を中心にした実態に関する調査(数量調査、インタビュー調査、ケースワーク)を精神医学、社会心理学等の観点から実施し、現在の問題点を明らかにするとともに現在の対応を検証するという手法をとる。 今年度は、(1)、(2)について、研究協力者を中心に、アメリカ、韓国、オーストラリア、インド、インドネシアの研究者を招聘して8月に国際セミナーを開催した。各国における女性、子どもの被害、その中でも性犯罪とDVに焦点を当て、どのような法制度で対応しているかにつき報告を受けると共に、日本の法制度の改正するべき点について議論を行った。とりわけ韓国では、様々な特別法を設けており、また警察が主体となり、数多くの病院内に、女性、子ども被害者のための専門のスペースを設けており、日本が学ぶべきことが多いことが明らかになった。現在、多くの国で性犯罪に関する法規定において、特別な権力関係にある場合について、別途規定を設けている。日本はこれがないためにいわゆるセクハラ事例において、被害者が裁判で苦しむことになる場合があると言う立法上の問題も浮かび上がった。(3)の内容の一部である女子少年院における被害者教育に関するインタビュー調査に関して、昨年度までにインタビューの終わらなかった施設を全て回った(昨年度終了予定であったがインタビュー先と日程調整がつかなかった施設が残ったため、今年度に実施した。法務省より延長許可を受けている)。被害者に収容されている女子少年自身に被害性が高いことは全ての施設で認識されていることが分かった。その点を教育に取り入れ、DV問題も指導している施設もあった。 その他、今年度はこれまでの研究成果の一部について、3つの学会でワークショップを立ち上げ、研究代表者、研究分担者、研究協力者を中心に報告を行った。6月の日本刑法学会においては、(1)、(2)、(3)について、ドイツ、スウェーデン、フィンランドの状況、(3)について社会心理の観点から報告を行い、日本の状況についての提言を行った。9月には日本社会心理学会において、(3)のうち、PFI刑務所に関して報告を行った。10月には日本犯罪社会学会にて(3)のうち、PFI刑務所に関して報告を行った。国際セミナーの内容の他、刑法学会で報告した内容、(3)に関する内容をまとめた出版を行うため、編集作業を行っている。平成24年度に出版予定である。
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