研究課題
本研究プロジェクトは、(1)脳神経倫理学の学問的特質の明確化、および(2)神経科学がもつ社会的インパクトの制御可能性の検討を主な研究課題とし、活動を行ってきた。プロジェクトの第二年度にあたる本年度も脳神経倫理学の学問的な基礎を確立することを企図し、脳神経倫理学に関する文献資料の調査に努め、その成果の一部を論文・口頭で発表した。また本年度は昨年度の研究成果に基づく脳神経倫理学の本格的な展開に努め、その具体的な実践として「「社会脳」を考える-社会性の脳科学と社会-」(2009年7月25日)および「神経科学の「実力」と「衝撃力」一脳科学神話の検討」(2010年2月20日)の二つのシンポジウムを開催した。前者では、理化学研究所の藤井直敬氏、自然科学研究機構・生理学研究所の定藤規弘氏等に講演を依頼し、「社会脳」をキーワードとして社会認知や社会行動に関する脳科学研究について学際的な議論を行った。後者では、慶應義塾大学文学部の川畑秀明氏、京都文教大学人間学部の永澤哲氏等に講演を依頼し、神経科学の近接領域として昨今大きな注目を集めつつある「神経美学」や「神経神学」に関する討議を展開した。さらに昨年度開設した当研究プロジェクトを紹介するウェブサイトや「脳神経倫理ポータルサイト」を通じて、プロジェクトの研究成果を発表し、研究会やシンポジウムを紹介するなど、脳神経倫理学に関する情報を社会へ積極的に発信した。当研究プロジェクトの活動は新聞でも報道され(『中日新聞』2009年7月7日)、社会的な関心を集めるに至っている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
科学哲学
巻: 42巻2号 ページ: 1-11
アカデミア(人文・社会科学編)
巻: 90号 ページ: 89-116
科学技術倫理学の展開(石原孝二・河野哲也編)
ページ: 105-121
http://hps.c.u-tokyo.ac.jp/a_theoretical_foundation_of_neuroethics/